ポルスカぐらし

ポーランドを好きになるための記録

言語をアイデンティティとして

 

2月から住むアパートが無事決まったので、今日は不動産会社で賃貸契約の手続きをしてきました。

ポーランド人のオーナーは、ロシア帽のような大ぶりのファーハットがとてもよく似合う上品な年配の女性。わたしたちの知っている数少ないポーランド語でお礼を言うと喜んでくれて、以前の借主はポーランド語をちっとも喋れなかったのよ、と零していました。

 

ポーランドの人たちは、わたしたちがポーランド語で挨拶やお礼を言うと、ほころぶような笑顔を見せてくれます。日本で外国人の方が「アリガトウゴザイマス」などと片言で喋ってくれると、何だかとっても優しい気持ちになるのと同じような感覚なのかもしれません。公用語である英語が第一言語の国ではきっと味わうことが出来ないであろうこの気持ちに、少しだけ誇らしさすら感じます。

 

 

 

契約中にびっくりしたことがひとつ。

 

オーナーに対してはデポジットを、不動産会社に対しては仲介手数料を、それぞれ現金で用意するのですが、コインを持っていなかったわたしは仲介手数料を紙幣のみで支払い、釣銭を貰おうとしました。戻ってくるはずの金額は16ズロチ。実際に手渡されたのは、20ズロチ紙幣。一瞬時が止まり、お釣りが多いんじゃないの?と夫がおずおずと申し出ます。しかし、不動産屋のお姉さんは金額を間違えたわけでもないようで、オッケーオッケーいいのよ受け取って、と何でもないような表情。

 

ん?それはあかんやろ。そっちのお金の計算合わんようになるやん。それともお姉さんが差額分補填するってこと?けどわたしの前職ならそんなことしたら懲戒解雇モンやで。

 

頭の中のツッコミが一挙に旗を上げて脳内を駆け巡り、わたしは戸惑いで歯切れの悪い返事をしつつ、結局紙幣は言われるがまま財布に納めました。

差額の4ズロチは一体いずこへ・・・。

 

ポーランド人の仕事に対する姿勢は非常に日本人的で、きめ細やかな印象だと聞いていたのですが、そのイメージが見事に打ち砕かれた出来事でした。損をさせられたわけではないので、こちらとしては別に構わないんですけどね。

 

 

 

家にひとりきりで退屈な平日を終えて、お待ちかねの週末がやってこようとしています。